ストレス過多とされる現代社会では、多くの方が「疲れ」に悩まされています。疲れたと感じても、食事や休養、睡眠を通じて疲労を回復できれば大きな問題にはなりませんが、疲労が蓄積して「疲れが取れない」と感じるケースには注意が必要です。
この記事では、疲れが取れない原因や、その対処法について解説します。
「疲れ」とは、疲労のことであり、身体や精神に負荷がかかっている状態のことです。日本疲労学会による定義では「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」とされています。
疲労を示す症状には、以下のような症状があります。
- 思考能力低下
- 注意力低下
- 動作緩慢
- 行動量低下
- 眼のかすみ
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
疲労からの回復には、睡眠が効果的であり、食事や休息と組み合わせることで、より効果的な疲労回復が見込めます。
では、疲れが取れないと感じる場合にはどのような原因が考えられるのでしょうか。以下で3つのおもな原因を紹介します。
睡眠不足
疲労回復には、十分な睡眠が必要です。睡眠時間が少ないと、身体と脳が十分に休息できず、疲労回復効果が不十分になってしまいます。
睡眠は、時間だけでなく「質」も大切で、時間が足りていても、質が悪いと疲労がのこりやすくなります。
栄養不足
たくさん寝ているのに、疲れが取れない場合は「食事」が原因となっているケースも考えられます。疲労回復に必要な要素のひとつが「栄養摂取」です。
人間の日常活動を維持するためには、食事から栄養を摂取することが必要です。十分な栄養が食事から摂取されていない状態だと、体や脳がエネルギー不足に陥り、疲労感が取れない原因となります。
運動不足
人間の健康維持には、「十分な睡眠」と「栄養補給に必要な食事」、そして「適度な運動」が大切です。
運動不足は、筋肉量の低下に繋がります。筋肉量が低下すると血流の低下に繋がり、体内の代謝も低下すると言われています。
また、デスクワークなど、体をあまり動かさずに同じ姿勢をとり続けることも疲労の原因となります。
疲労は、日常生活の中で身体的負荷や精神的ストレスが過剰になっている状況に対する体からの警告です。そのため、疲れを感じるときには速やかに疲労回復に努め、乱れた自律神経の働きを正常に戻す必要があります。
ここでは、疲れが取れないときの対処法を紹介します。
良質な睡眠を取る
疲労を回復させたい場合は、良質な睡眠を取ることを意識しましょう。
厚生労働省が2023年に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、「よい睡眠のための対策」として以下の点に注意するべきとされています。
- 睡眠をとりやすい環境づくり
- 生活習慣の見直し
- 嗜好品の摂取に気をつける
- 不規則な勤務形態への注意
良質な睡眠を取るためには、適度な運動や入浴などが直接的な役割となりますが、食事を取る時間や体内時計の遅れなどは良質な睡眠を妨げる要因になります。まずは規則正しく生活することを心がけてみましょう。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
栄養バランスを意識する
疲労回復には、食事によるバランスの良い栄養補給も欠かせません。
炭水化物や脂質は体内で代謝され、活動エネルギーを生み出しますが、効率の良い代謝ができないと活動エネルギーが上手に生み出せず、疲れを生じさせてしまいます。
エネルギー代謝に必要な栄養素として「ビタミン」があり、とくに「ビタミンB群」が重要です。ビタミンB群を摂取することで、活動に必要なエネルギーが効率的に産生されるため疲労回復に繋がります。
また、カフェインやアルコール、過度なストレス、激しい運動は、ビタミンB群の消費を高めるため、疲労回復を妨げる原因となりますので注意しましょう。
適度な運動をする
ストレッチやウォーキングなど軽度の運動は、血行改善やストレス軽減効果が見込めるため疲労回復に繋がります。
とくに、デスクワーク中心で運動不足が懸念される方は、適度な運動をすることが疲労回復に効果的です。また、運動やスポーツの習慣は社会参加にもつながるため、精神的、社会的な健康にも期待できます。
ただし、社会参加が逆にストレスになる方は、一人でやるか、誰かと一緒にやるか、ご自身にあったやり方で取り組むのが良いでしょう。
生活習慣の改善をしても疲れが取れない場合や、「十分な睡眠」「適度な運動」「適切な栄養摂取」いずれも問題がない場合は、疾病が原因による疲れやすさや倦怠感の可能性も考えられます。
思いあたる原因がなく、疲れが取れないときは早急に医療機関を受診するようにしましょう。