
乾燥肌のスキンケア!保湿剤の選び方と正しい保湿方法を詳しく解説

「肌がつっぱる……」「カサつく……」そんな乾燥肌に悩んでいませんか?乾燥肌を放置すると、外的刺激を受けやすい「敏感肌」になってしまう可能性があります。肌を健康な状態に保つためにも、適度に肌を潤わせることが大切です。この記事では、肌が乾燥する原因やスキンケアアイテムの選び方、具体的なケアの方法についてわかりやすく解説します。
目次

(やました まりこ)
美容皮膚科医
※弊社から山下先生に監修を依頼し、編集して掲載しています。
1.肌が乾燥するのは角層の水分不足

角層の水分量が少なくなり、乾燥した状態になると「乾燥肌」と呼ばれる状態になります。皮膚はいくつもの層が重なって構成されており、最も外側にある層が「角層」です。
健康な角層は、適度に水分と脂を含み、見た目だけでなく触った感じも潤った状態です。しかし、加齢や外的な要因により、角層から水分や脂が失われてしまいます。そのような状態では肌のバリア機能が低下し、かさつきやかゆみ、粉吹き、ひび割れなどの肌トラブルに悩まされることも珍しくありません。
そこでポイントとなるのが、角層の水分保持に欠かせない成分「セラミド」です。セラミドは角層内に存在する脂質の一つで、皮膚表面にバリアを形成する役割を果たします。
角層内に存在する脂質の一種。皮膚表面にバリアを形成し、角層内の水分や油分の流出を防ぐ役割があります。また、皮膚を紫外線や乾燥といった外的刺激からも守ってくれる、うるおいのある皮膚を維持するために不可欠な保湿成分です。セラミドの生成は加齢によって減少し、乾燥や紫外線の影響も受けやすい特徴があります。
2.スキンケアの前に!肌が乾燥する5つの原因

乾燥肌の主な原因は、皮膚のバリア機能が低下するためです。ここでは、皮膚のバリア機能が低下する要因を解説します。ご自身の乾燥肌の要因として思い当たるものがないかチェックしてくださいね。
2-1.エアコンや外気による乾燥
エアコンで部屋を暖めると空気中の水分量が変わらないまま温度だけ上がるため、相対的に部屋の湿度が下がり空気が乾燥します。また、エアコンの温風に直接当たり、髪や皮膚などの水分が奪われることも乾燥の原因です。
とくに冬は外気も乾燥しているため、室内だけでなく屋外でも肌は乾燥します。肌の水分が奪われて乾燥すると、バリア機能の低下につながり、肌の乾燥が進んでしまいます。
2-2.生活習慣の乱れ
偏った食生活は体だけでなく肌の健康も損ない、肌荒れや乾燥を招くでしょう。これは、古い角質が適切に排出されるターンオーバーが正常に行われなくなってしまうためです。
肌に強い刺激を与えると、必要な保湿成分まで取り除かれてしまい。さらに、肌のバリア機能の低下を招き、ダメージを受けやすくなってしまうでしょう。
偏った食事
過度な飲酒や喫煙
運動不足
睡眠不足
ストレスを溜め込む
2-3.紫外線によるダメージ
紫外線も肌を乾燥させる外的要因の一つです。紫外線が皮膚に当たりダメージを受けることで、肌の持つバリア機能が低下します。肌の水分量を保つバリア機能の低下により、肌は水分を保てなくなり乾燥します。
紫外線量が増えるのは夏ですが、冬でも注意が必要です。また、3月には中程度の紫外線があり、5月になると8月の約8割の紫外線がすでに降りそそいでいます。まだ寒い時期でも、思ったより紫外線が強いので十分な予防を心がけましょう。
また、曇りの日でも紫外線量は、快晴時の6~9割ほどもあるのです。紫外線に肌が晒され続けると、乾燥肌につながります。
出典:気象庁「日最大UVインデックス(観測値)の月平均値の数値データ表」
2-4.間違ったスキンケア
スキンケアをしていても、肌に過度な刺激を与えるような方法では、かえって乾燥肌を招いてしまう可能性があるでしょう。たとえば、洗顔時に肌を強くこする、熱いお湯で洗顔するなどが挙げられます。
また、ストレスや睡眠不足も、ホルモンバランスや血流、自律神経に影響を与えて、適切なターンオーバーを阻害する可能性があります。生活習慣が乱れると、さまざまな要因から乾燥肌を招いてしまうのです。
1日に何度も洗顔をする
熱いお湯で洗顔する
入浴や洗顔後しばらくスキンケアをせず放置する
肌がつっぱるほど乾燥した状態に乳液やクリームを塗る
2-5.加齢によるセラミドの減少
皮膚表面にある保湿成分「セラミド」は、加齢とともに減少します。これは、肌のターンオーバーの周期が遅れ、セラミドを生成する能力が衰えるためです。とくに30~40代では、健康な20代と比べて約1.5倍もターンオーバーに時間がかかります。
結果として乾燥しやすくなり、小じわやハリの低下が目立つようになるでしょう。また、外部刺激に対する抵抗力も低下し、さまざまな肌トラブルを引き起こす要因となります。
3.乾燥肌をそのままにすると「敏感肌」になりやすい
乾燥肌をそのまま放置するのはおすすめできません。何のケアもしないで放置すると、外的刺激を受けやすい「敏感肌」になりかねないため、注意が必要です。
角層の水分量が減ると、皮膚のバリア機能が低下するため、ちょっとした刺激でも肌にかゆみなどの肌トラブルが生じることもあります。また、ケアを怠ると乾燥が悪化することもあるため、早めのケアが大切です。
【こんな症状があったら敏感肌かも】
季節の変わり目に肌荒れしやすい
乾燥しやすく、カサカサすることが多い
化粧水や乳液を塗るとピリピリ・ヒリヒリすることがある
洗顔後に肌がつっぱる感じがする
汗やマスクの摩擦で違和感が出やすい
4.乾燥肌を守りながら清潔に保つ洗顔のポイント
【やってみよう!洗顔の5ステップ】
STEP1:顔を水 or ぬるま湯で軽く濡らす
◎必ず手を洗ってから始めよう
STEP2:適量の洗顔料を手に取り泡立てる
◎フォームタイプだと忙しい朝にも便利!
STEP3:肌を擦らないよう泡で顔全体を包み、転がすように洗う
◎あまり時間をかけすぎないように!
STEP4:水 or ぬるま湯でしっかりすすぐ
◎ゴシゴシ擦らないように注意!
STEP5:タオルでやさしく水分を拭き取ろう
◎タオルをポンポンと肌に置くように当てて拭く
洗顔料は、使い心地が優しいマイルドなタイプを選びましょう。ゴシゴシと強く擦ると皮膚にダメージを与えてしまうので、しっかりと洗顔料を泡立て包み込むように洗ってください。
また、熱いお湯も皮膚にダメージを与えます。水もしくは人肌程度(36~38℃)のぬるま湯で洗いましょう。
- 乾燥しやすい敏感な肌の方は、余分な成分が少ないシンプルな固形石鹸もオススメ。泡立ちのよいものをしっかり泡立てて。
- 泡立てる時間を短縮したい方には泡で出てくる「フォームタイプ」がおすすめ
5.乾燥肌を守るスキンケアアイテムの選び方

乾燥から肌を守るためには、普段の生活に注意するのも大切ですが、適切なスキンケアアイテムを使うことも大切です。肌を守るスキンケアアイテムの選び方を紹介します。
5-1.まずはスキンケアアイテムの種類と役割を知ろう!
保湿をサポートするスキンケアアイテムには、化粧水や美容液、乳液、クリーム、オイルやバームなどさまざまな種類があります。アイテムごとに使用タイミングや役割、特徴を正しく理解しておくと、それぞれの良さを最大限に引き出せるでしょう。
ここでは、以下の4種類についてご紹介します。
スキンケアアイテム | テクスチャー | 主な役割 | 使用タイミング | 配合成分の特徴 |
---|---|---|---|---|
化粧水 | 比較的さらさらとした液状 | 角層に水分を与え、肌をうるおす | 洗顔直後の最初に使用 | 水分が主体で、保湿成分を含む |
美容液 | とろみのある液状~ジェル状 | 高濃度の美容成分で集中的にケア | 化粧水の後 | 保湿成分やその他機能の成分が高濃度で配合 |
乳液 | 軽いクリーム状 | 水分と油分のバランスを整え、肌を柔らかくする | 美容液の後 | 水分と油分をバランスよく配合 |
クリーム | 濃厚なクリーム状 | 水分の蒸発を防ぎ、外部刺激から肌を守る | スキンケアの最後 | 油分が多い成分を配合 |
化粧水、美容液、乳液、クリームの順番に塗るのが一般的です。「化粧水だけ」という方も見られますが、油分を含む乳液やクリームを重ねることで、水分の蒸発を防ぎます。とくに乾燥が気になる方は、クリームを最後に重ねるのがおすすめです。
ただし、商品によっては独自の使い方や使用タイミングが決められている場合もあります。使う前に商品の裏面や箱に記載されている使用方法や注意書きを確認してください。
5-2.低刺激のものを選ぶ
乾燥肌の方なら肌にやさしい使い心地のものがおすすめです。防腐剤や香料などが無添加にこだわった商品を選ぶとよいでしょう。肌に合わない化粧品を使用すると、かえって肌の状態が悪化することもあります。
また、パッチテストやスティンギングテストを実施しているかどうかも、化粧品を選ぶときの基準にするとよいでしょう。ただし、テストを通過した商品であっても、すべての人に皮膚トラブルが起こらないとは言い切れません。使用する前には必ず二の腕などの目立ちにくい場所でパッチテストをしてください。
5-3.保湿成分に注目する
化粧品に含まれている成分にも注目してください。乾燥が気になるときは、セラミドやアミノ酸、ヒアルロン酸といった保湿成分が含まれているものを選びましょう。
たとえば、セラミドは皮膚内の水分を保持するだけでなく、バリア機能を高めて水分の蒸発を防いでくれます。アミノ酸は角層の水分を保持しながら、肌表面のpHバランスを弱酸性にキープします。また、ヒアルロン酸は、1gで6リットルの水を保てる保水力の高い成分です。成分ごとの特徴を知っておくと、肌状態に合った化粧品を選びやすくなるでしょう。
6.使い方も重要!スキンケアアイテムを塗るときのポイント

乾燥肌に合ったスキンケアアイテムを選んでも、使い方が間違っていると期待するような効果は得られません。乾燥肌に適した化粧品の使い方を紹介します。
6-1.洗顔後5分以内に保湿する
洗顔直後から肌の水分蒸発は始まります。乾燥を避けるためにも、洗顔後5分以内に保湿をしてください。また、スキンケアは清潔な肌に行いましょう。洗顔後や入浴後のタイミングでのスキンケアを習慣化するのがおすすめです。
6-2.保湿ケアは1日2回行う
保湿ケアは朝晩を目安に1日2回は行ってください。商品や使用量にもよりますが、朝の洗顔後に保湿をすれば、夜のクレンジングまでは保湿効果が保たれる場合が多いです。また、メイクのノリがよくなる効果も期待できるでしょう。
6-3.手のひらで肌に優しくなじませる
化粧品を手のひらで温めてから使用すると、肌になじみやすくなります。とくに敏感なときはコットンでのパッティングは避け、手のひら全体で優しくなじませるようにしてください。また、推奨されている量より少ない量にすると、期待するような効果が得られない可能性があります。使用説明書を参考に、適切な範囲内でたっぷりと使用してください。
6-4.乾燥がひどい部分は重ねづけをする
保湿ケアは複数を組み合わせると効果が得やすいとされています。乾燥が気になる部分は重ねづけをし、丁寧にケアをしてください。ただし、化粧品がなじむ前に重ねてしまうと、保湿効果は得にくくなってしまいます。しっかりと肌になじんでから、次の化粧品を塗りましょう。
7.保湿や洗顔だけじゃない!内側からできる乾燥肌ケア
乾燥肌のケアには、保湿ケアや洗顔といった「外からのケア」も重要ですが、ここでは内側からできるスキンケアについても見ていきましょう。
7-1.水分をしっかり補給する
体内の水分量が不足すると、肌の潤いも失われ、乾燥が進行します。1日に1~2リットルを目安に水分を摂取するとよいでしょう。
ただし、カフェインは利尿作用があるため、体内の水分量を減らす可能性があるため注意が必要です。カフェインが入った飲み物はなるべく避け、常温の白湯や水を少量ずつ摂取しましょう。
7-2.食生活を整える
バランスの取れた食事は、内側からできるケアの一つです。体の健康を維持することで、肌のターンオーバーが正常に保たれ、乾燥を予防しやすくなります。健康を維持するためにも、食生活を意識しましょう。
7-3.たっぷり眠る
睡眠不足も、肌のターンオーバーを乱す原因の一つです。しっかりと睡眠時間をとり、ターンオーバーの乱れを予防しましょう。また、睡眠をしっかりとることで体が適度に休まり、自律神経が整って皮脂分泌のバランスも整いやすくなります。できれば毎日決まった時間に就寝・起床し、7~8時間程度の良質な睡眠を確保しましょう。
8.丁寧なスキンケアで潤い肌を目指そう
乾燥肌を放置すると、肌荒れやかゆみが生じやすくなるだけでなく、外的刺激を受けやすい敏感肌になるリスクがあります。肌の健康を守るためにも、丁寧なスキンケアでしっとり肌を目指しましょう。
肌に合うスキンケアアイテムを選び、適切に使用することも、潤い肌を実現する大切なポイントです。成分や使い方もチェックしてみてください。

※弊社から山下先生に監修を依頼し、編集して掲載しています。