
セラミドとは?顔や体の肌の保湿に効果的な化粧品の選び方を簡単解説

セラミドとは、皮膚の最も外側の角層内に存在し、水分を皮膚内に保つだけでなく、皮膚を外部刺激から守るのに欠かせない保湿因子であり、皮膚の外に蒸発するのを防ぐ役割を果たす保湿因子です。セラミドが不足する理由や補給するための方法、セラミド配合化粧品の選び方についてわかりやすく解説します。
目次

(たけうち そう)
日本皮膚科学会 専門医
※弊社から竹内先生に監修を依頼し、編集して掲載しています。
1.肌の重要成分「セラミド」とは?

セラミドは肌の角層に存在する保湿成分であり、角層が持つ「バリア機能」を支える重要な役割を担っています。バリア機能とは、外部刺激から皮膚を守り、内部の水分が蒸発しないように保持する働きのことです。
なお、角層とは皮膚の最も外側にある層を指します。角層は、わずか約 0.02mm の薄さで、この角層こそがすこやかな肌には欠かせない役割を担っているのです。
肌の角質層に存在する水分を保持する成分のこと。肌を乾燥から防ぎ、バリア機能をサポートする。
1-1.肌には3つの保湿因子がある

保湿因子 | 主成分 | 場所 | 主な機能 |
---|---|---|---|
皮脂膜 | 皮脂(油分)と汗(水分)の混合物 | 肌表面 | ・水分の蒸発を防ぐ |
天然保湿因子(NMF) | アミノ酸 | 角質細胞内 | ・角層内部の水分を保持する |
細胞間脂質 | セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸 | 角質細胞間 |
・水分を保持する ・細胞同士をつないで、外部刺激から守る |
私たちの肌には潤いを守る皮脂膜と天然保湿因子、細胞間脂質の3つの保湿因子があります。いずれも潤いを保つうえで欠かせない因子で、減少すると肌の乾燥を招きます。
セラミドは細胞間脂質を構成する成分の一つです。水分を保持するだけでなく、細胞と細胞をつないで外部刺激から守る役割を果たします。
1-2.とくにセラミドは肌の潤い・バリア機能を整えるのに欠かせない
とくにセラミドは、角層の潤いやバリア機能の維持に欠かせない存在だといえるでしょう。細胞間脂質の約50%をセラミドが占めており、角層のセラミドの量が多いほどバリア機能が高くなるという関係が示されています。
つまり、乾燥や外部刺激を防ぐには、セラミドを補給することが大切なのです。
2.セラミドは「肌のターンオーバー」で作られる

肌のターンオーバーとは、肌の奥底で生まれた細胞が徐々に表皮部分の角層に押し上げられ、最終的に垢として剥がれ落ちることです。新しく生まれた細胞は平均約14日かけて変化しながら肌表面へと押し上げられ、最終的に角質細胞となって肌内部を守ります。
潤ったすこやかな肌のためには、肌のターンオーバーを正常な状態にし、セラミドを生成することが大切なのです。
3.セラミドの不足は「敏感肌」につながる

セラミドが不足すると、角質細胞をつなぐ細胞間脂質が減り、角層がスカスカの状態になってしまいます。それはまるで穴のあいたバリア膜の状態なので、角層内の水分が蒸発しやすくなります。すると刺激が肌内部に入り込みやすい「敏感肌」になります。
そのため、肌荒れやかゆみ、赤みといった症状を引き起こしやすくなる点にも注意が必要です。つまり、セラミドが不足すると、角層のバリア機能が低下してしまうのです。
- 肌荒れしやすい
- 肌がザラつく/ゴワつく
- 少しの刺激で肌がかゆくなる/赤くなる
- 肌がピリピリする/つっぱり感がある
- とても乾燥する
4.セラミドが不足してしまう主な原因
セラミドは角層に潤いを保ち、角層がバリア機能を発揮する重要な成分です。しかし、常に十分に存在するわけではありません。セラミドが不足する原因について見ていきましょう。
4-1.加齢による減少
ターンオーバーの周期は、20代では約28日といわれています。しかし、加齢とともに長くなり、40代では約45日周期です。周期が長くなるにつれ、肌がセラミドを生み出す力も衰え、50代では20代の約半分にまでセラミドが減少します。
4-2.生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れはターンオーバーに影響を与える原因の一つです。たとえば、睡眠不足はセラミド不足につながります。肌のターンオーバーに欠かせない成長ホルモンは、睡眠中に最も活発に分泌されるといわれているためです。また、成長ホルモンの分泌には、タンパク質やビタミンをはじめとしたさまざまな栄養が欠かせません。
4-3.誤ったスキンケアによる流出
間違ったスキンケアにより肌が傷つくと、セラミドが過剰に流出するリスクがあります。洗顔やメイクオフの際に強く皮膚をこすったり、熱いお湯で流したり、タオルでごしごしふいたりするのは避けましょう。セラミドが過剰に流出すると、肌の潤いを保ちにくくなり、乾燥や肌荒れなどの皮膚トラブルにつながるおそれがあります。
紫外線によってもセラミドは減少するので、夏場だけでなく年中注意が必要です。それ以外にも、こすれや刺激、入浴や汗とともにもセラミドは流出してしまうのです。
5.セラミドはスキンケアでも補給できる
セラミドはさまざまな要因で減少しますが、スキンケアで肌に直接補うことが可能です。洗顔後や入浴後は時間をおかず、セラミドが配合された化粧水や乳液などのスキンケアアイテムを使用し、皮膚の外からセラミドを補給しましょう。
とくに敏感肌の方は、バリア機能をサポートしてくれるセラミドに注目してスキンケアアイテムを選ぶのも一つの手段です。
6.セラミド配合化粧品を選ぶときのポイント

セラミドが配合されたスキンケアアイテムは多くありますが、どれも同じというわけではありません。セラミド配合化粧品の選び方を紹介します。
6-1.配合されているセラミドの種類を確認する
種類 | 特徴 | 代表的な成分名 |
---|---|---|
ヒト型セラミド | 人の肌にあるセラミドと同じ構造を持つセラミドで、保湿力が高く、肌なじみがよい。 | ・セラミドEOP(セラミド1) ・セラミドNG(セラミド2) ・セラミドNP(セラミド3) |
天然セラミド | 哺乳類由来のセラミドで保湿力が高く、肌なじみがよい。 |
・ビオセラミド ・セレブロシド |
植物性セラミド | 植物由来のセラミドで、天然セラミドやヒト型セラミドに比べて保湿力はやや劣るものの、優しく浸透していく。 | ・コメヌカスフィンゴ糖脂質 ・ユズセラミド |
疑似セラミド | 溶解しやすいため化粧品への配合がしやすく、コスパがよい傾向にある。 | ・ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド |
セラミドには、ヒト型セラミドや天然セラミド、植物性セラミドなど上記のようにいくつか種類があります。とくにヒト型セラミドは人の肌にもともとあるセラミドと同じ立体構造をしたセラミドなので、スカスカのところにぴったりはまるイメージで肌になじみやすく、保湿効果が高いといわれています。
6-2.成分表の前方にセラミドが記載されているものを選ぶ
セラミドの含有量にこだわるなら、成分表の前方にセラミドが記載されているスキンケアアイテムがよいでしょう。化粧品の成分表示は配合量の多い順に記載するルールがあるため、前方にセラミドが記載されているときは配合量が多いと考えられます。
ただし、配合量が1%以下の成分については、記載順序は定められていません。また、医薬部外品は有効成分以外の成分はすべて順不同です。そのため、セラミドが前方に記載されていても、配合量が少ない可能性もあるため目安として覚えておくとよいでしょう。
出典:日本化粧品工業連合会「化粧品の全成分表示記載のガイドライン(改訂)」
6-3.低刺激で肌に優しい処方のものを選ぶ
敏感肌で悩んでいる方は、低刺激で肌に優しい処方のものを選びましょう。購入前に、パッチテストやアレルギーテスト、スティンギングテスト(敏感肌用刺激性テスト)などを実施しているかどうかをチェックするのも一つの方法です。
ただし、テストを通過している製品でも、人によっては刺激を感じる可能性があります。心配な場合は顔に使用する前に二の腕などで試し、反応を観察しましょう。
6-4.使用感を試してみる
セラミドの種類が同じでも、製品によって肌との相性やテクスチャーが異なります。使用する前に試供品などでパッチテストを実施し、自分の肌に合うか確認しましょう。試供品がない場合は、直接肌に塗る化粧水ではなく、他のスキンケアアイテムを挟んでから使う保湿クリームなどから試しましょう。
7.セラミドに関するよくある疑問
セラミドについてよくある質問とその答えをまとめました。セラミド配合化粧品を使用する前に、ぜひチェックしてみてください。
7-1.Q.セラミドは肌に安全なの?
A. セラミド自体は肌に元々存在する成分です。基本的に幅広い世代の方が使用できます。
いくつか種類があるセラミドの中でも、人の体内にあるセラミドと同じ構造を持つヒト型セラミドは、角層へのなじみがよいという特徴があります。敏感肌の方でも使いやすい傾向にある成分です。
7-2.Q.セラミドが合わない人もいる?
A.敏感肌の方の場合はセラミドの種類によっては、肌に合わない可能性もあります。ただし、多くのセラミド配合化粧品の成分はセラミドだけで構成されているわけではないため、一概にセラミドが原因ともいえません。不安な方は成分別のパッチテストをしてから購入することをおすすめします。
7-3.Q.セラミド不足のサインは?
A.セラミドが不足している場合、ちょっとした刺激で肌にかゆみや痛みを感じたり、赤みが生じたりすることがあります。不足した状態を放置するとかさつきや乾燥が進行することもあるため、早めに対処しましょう。
8.敏感肌の方は成分に注目して化粧品を選ぼう
肌のかさつきや乾燥、赤みなどが気になるときは、もしかしたらセラミドが不足しているのかもしれません。セラミドは化粧品などのスキンケアアイテムで補うことが可能です。
また、敏感肌の方は、セラミドの種類にも注目しましょう。人が持つセラミドと同じ構造のヒト型セラミドなら、角層へのなじみもよく、保湿効果も高いとされています。ぜひセラミドなどの成分に注目して化粧品を選んでみてはいかがでしょうか。

※弊社から竹内先生に監修を依頼し、編集して掲載しています。